【Report】日本最大級のサツマイモの祭典
「さつまいも博2022」

食べておいしいだけじゃない!
サツマイモを「学べる」企画も充実

おいしく食べたあとは、お勉強の時間です。けやきひろば1階の屋内スペースに降りましょう。
ここで目に飛び込んできたのは、「世界のさつまいも」の大きなパネル。サツマイモがどんな風に食べられているのか、歴史上どんな関わりがあるのかなど、世界各地のサツマイモ事情を知ることができます。

フムフムと読んで横を見ると、今度はサツマイモが一列に並んだ不思議な光景が。

ここはその名も「生芋展示コーナー」。33もの品種のサツマイモの実物が、一つひとつ、断面の写真と説明つきで展示されており、なんというか、狂気に近い情熱を感じます。「くりこがね」「ベルベット」ような珍しい品種にもお目にかかれました。

次は「おいもクイズラリー」。入場時に配られた解答用紙を手に、会場内のあちこちに貼り出されたおいもクイズを巡り、答えを書き込んでいきます。クイズ以上に、クイズのある場所を見つけるのが超難問。走り回ってようやく全問解答し、合格賞とオリジナルクリアファイルを手に入れました。

 

最後は「さつまいも検定」に挑戦です。会場のあちこちに掲示されているQRコードをスマホで読み込むと、初級・中級・上級の選択画面に続き、問題が始まりました。意地を見せようと上級を受験したら、思った以上に本気の難問で、何度も落第。6回目くらいでようやく20問全問正解し、「さつまいも名誉教授」の称号を授かることができました。

 

これら一連の「学べる」企画を手掛けているのは、東京大学の学生サークル「IMOPROJECT」のみなさんです。芋類の研究や栽培、情報発信などの活動を行っているそうで、会場でもスタッフとして活躍していました。

 

すぐれた農家を表彰する
「日本さつまいもサミット2022」

「日本さつまいもサミット」は、全国からエントリーされた生産者とさつまいもを専門家が審査・品評し、それぞれ「ファーマーズ・オブ・ザ・イヤー」「さつまいも・オブ・ザ・イヤー」として表彰する企画です。
表彰式は「さつまいも博」初日の2月23日(水・祝)にオンラインで行われ、同最終日の27日(日)には、会場内のステージにて、今年の受賞者や審査員らによるトークセッションも行われました。
また、会場内では受賞したさつまいもの販売も行われ、焼き芋に劣らぬ人気を集めていました。

「日本さつまいもサミット2022」受賞者

【ファーマーズ・オブ・ザ・イヤー】
五郎島さつまいも部会(石川県金沢市)/酒榮 優次
ごと(長崎県五島市)/赤尾 弘樹
ヤマブキファーム(茨城県ひたちなか市)/鈴木 梨沙
深作農園(茨城県鉾田市)/深作 勝己
七福芋本舗(愛媛県新居浜市)/白石 尚寛

【さつまいも・オブ・ザ・イヤー 】
べにはるか:株式会社照沼(茨城県那珂郡東海村)/佐々木 貴史
べにはるか:鹿児島県立鹿屋農業高等学校(鹿児島県鹿屋市) ※特別賞
安納べに:ごと(長崎県五島市)/赤尾 弘樹
シルクスイート:市毛農園(茨城県鉾田市)/市毛 誉
ひめあやか:渋谷農園(茨城県行方市)/渋谷 泰正

トークセッションの様子

受賞したさつまいもの販売

数あるサツマイモ・焼き芋関連のイベントの中でも、クイズやサミットといった企画を通して「学び」や「生産」にスポットを当てているところが、「さつまいも博」の特徴といえます。なぜ、このような形のイベントになったのでしょうか。実行委員会代表の若林さんにお話をうかがいました。

■さつまいも博実行委員会代表 若林勇介さん

 「焼き芋がシンガポールあたりで流行っている」という話を聞いて、2018年頃からサツマイモのイベントをやりたいと考えていました。でも、普通に食のイベントをやるだけでは面白くない。そこで、詳しい方にいろいろと話を聞いているうちに、農家さんがこれだけ頑張っておいしいサツマイモを作っているのに、あまり光が当たっていない、ということに気付きました。農家さんにちゃんと光を当てたい、と考えたことが、「さつまいもサミット」のようなアカデミックな企画を取り入れるようになったきっかけです。それと同時に、多くの人に楽しんでいただける企画も取り入れて、現在のような形になりました。
 今年の「さつまいもサミット」の審査には、農学博士の山川理先生をはじめとするサツマイモの専門家のほか、東大生を中心に結成された「IMOPROJECT」も参加しています。業界が一つになってサツマイモを盛り上げようとしているところが、とてもいいと思います。
 サツマイモのイベントを、都会のビル群の中でやるという、そのギャップも重要です。都会の人たちは、「有名パティシエのスイーツ」のようなおしゃれなものに飽きてきて、土に還るではないですが、原始的なところに回帰しているのではないでしょうか。
 今後は、サツマイモを「知る」ことにより関心が行くようなイベントにしたいですね。サツマイモってどんな種類があって、どういう経緯をたどって今があるのか、そして未来はどうなっていくのか。そんなところまで知ってもらいたい。シーズンを変えて夏に開催すれば、農作に関するお話もできるし、収穫体験などもできるかもしれません。そうやって手を動かすようなイベントにもできたらいいなと思います。

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