【Report】さつまいも博2024

 2024年2月20日(火)~25日(日)、さいたまスーパーアリーナ・けやきひろばで「さつまいも博2024」が開催されました。
 開催期間6日間、出品メニュー310種以上と、いずれも過去最大規模で開催された今年の会場の模様をレポートします。

新たな試み①専用コイン

 今回のさつまいも博は、これまでと違って入場無料になりました。その代わりに、会場内の飲食は専用コインで行うという新システムが導入されました。各店舗のメニューには、金額の代わりに「6枚」など、必要なコインの枚数が記載されていました。

 紫コイン1枚=黄色コイン10枚で、つまり10円玉と1円玉の関係です。例えば「6枚」のメニューを紫コインで購入すると、黄色コイン4枚のおつりが来ます。
 専用コインは前売のほか、会場内の交換所で当日購入することも可能。私は前売で42枚(5,000円)購入していましたが、あっという間になくなり、当日8枚(1,000円)、さらに8枚と買い足しました。本当はもっと買いたかったのですが、何度も交換所に足を運ぶうち、ギャンブル的な感覚に陥り、自分で自分にストップをかけました。
 いつもなら欲望のままに買ってしまうところ、自制心を働かせられたというのは、私が専用コイン制に感じたメリットの一つです。また、ここでしか使えない「さ」印の通貨が、謎の一体感と非日常感をアップさせる効果もあったと思います。
 反面、残りのコイン数に気を取られて、目の前の芋と向き合う集中力を若干削がれてしまったのも事実。出店者や他の来場者の方がどのように感じたのか、興味深いところです。

新たな試み②やきいも全25種食べ比べ

 さつまいも博の名物企画「全国やきいもグランプリ」。これまで、その審査方法は実行委員会や協賛企業による評価と、来場者によるメダル投票でしたが、今回新たに「やきいも全25種食べ比べ」が加わりました。これは、一般来場者(希望者のみ、事前申し込み制)が、グランプリにエントリーされている焼き芋25種を全て食べて審査するというもの。全店食べる機会などなかなかないので、これは!と勇んで参加してきました。

 さいたまスーパーアリーナ1階の特設会場に行くと、一口サイズでカップに入れられた焼き芋が、1番から25番まで番号を振られた状態で並んでいます。書かれているのは番号のみで、店舗名は伏せられています。審査員は、ここから一つずつ自分のトレーに焼き芋を取って食べ、スマートフォンで専用サイトにアクセスして投票するという仕組みです。審査員一人あたりの持ち票数は30票で、一つの焼き芋に全票を投じるも、複数に分散させるも自由です。


 トレーいっぱいに並ぶ25個の焼き芋。なかなかの迫力です。とりあえず1番から順に食べ、傍らの紙に「もっちり」「甘さすっきり」「濃蜜」など感じたままメモしていきます。素直に言ってしまえば全部おいしいのですが、それでは審査になりません。個人的には、際立った甘さやねっとり感よりも、全体のバランスを重視するほうなので、それを自分なりの基準として審査を進めました。
 ちなみに、この食べ比べで振られていた番号と店舗名のリストが、後日事務局から審査員にメールで送られてきました。手元のメモと照らし合わせて「やっぱり」「あら意外」などと答え合わせも楽しめました。

気になるメニューをピックアップ

 ここからは、会場で出会ったメニューの中からいくつかピックアップしてお届けします(は初出店)。
 
&potato
なると金時[皇]

 サツマイモの産地として名高い、徳島県里浦産のなると金時。その特徴であるキメの細かさや上品な甘さが、驚くほど引き出されていました。「しっとり」「ねっとり」「ほくほく」のどれにも当てはまらないような、そのすべてを兼ねているような。[皇]と名付ける気持ちがわかります。

芋屋るーと
秘蜜芋

 もと消防士の店主さんが地元・川越にオープンしたお店。地元に根を張りたい、などの思いから「るーと(root)」と名付けたそう。
 他店では取り扱っていないという希少な「秘蜜芋」の焼き芋は、甘いは甘いでも、カスタードクリームを連想してしまうようなコクとなめらかさ。焼き芋ではあまり出会ったことのない、不思議な口当たりでした。

うみとやきいも ラッキーズ 
さつまいもそば

 静岡県吉田町から初出店のお店。海が近く、サーファーのお客さんが多いため、焼き芋と一緒にうどん・そばなども売っているそう。
 濃い目のつゆに太めのそば、そしてサツマイモ入りかき揚げ。ネギもたっぷり。甘くてしょっぱくて、優しくてパワフル。全てを包み込んでくれるような一杯でした。

おいもや 農家の台所
紅きらら

 「塩やきいも」でおなじみの農家の台所さんでは、珍しいオレンジ芋の「紅きらら」を。食感はほくほく+しっとりのハイブリッド(?)。ねっとり甘い系が主流の中、爽やかな甘みが特徴のオレンジ芋もじわじわと脚光を浴び始めているような。引き続き注目です。

五島商店 佐藤の芋屋
安納芋コロッケ

 サクサクの香ばしい衣の中から、ほんのり甘い安納芋が登場。コロンと小さめのサイズがかわいい。「ソースをかけてもおいしいかも」と思ったときには2個とも全力で食べきってしまっていました。残念。

超蜜やきいもpukupuku
芋皮入り超蜜グラノーラ

 体にやさしい芋菓子などを手掛けるikoさん作。オートミールやドライフルーツと一緒に、他のお菓子を作るときに出たサツマイモの皮と、超蜜やきいもの蜜も入っていて、全方位的に芋なアップサイクル商品。

日比焼き芋
日比焼き芋のフライドポテト(のり塩)

 カラッと揚げたての焼き芋に、これでもかというほどののり塩フレーバー。太めにカットされた焼き芋は、食感もしっかりとあり、フレーバーに負けない存在感。海と大地が出会い、新たな世界に連れていかれました。

ほしいもBASE TAKASHIYA 
半生干し芋(ホワイト)

 ひたちなか市で自社栽培したべにはるかを使用。一般的なべにはるかの干し芋に比べて厚みがあり、ツヤッツヤの見た目にまず驚き。口に入れると、衝撃的な柔らかさにさらに驚き。二度驚ける干し芋。

蜜芋処~えんむすび~
スパイモ

 近年人気の高まっているサツマイモ×しょっぱい×スパイス。こちらは焼き芋×ひき肉入りのカレーで、食感と風味の変化を楽しめました。

見習い農家カフェ
さつまいもとメキシカンソースの包み揚げピザ

 外ザクザク、中もちもちのカラッと揚がったピザ生地の中に、スパイシーなソースをまとったひき肉や野菜、サツマイモがゴロゴロ。元ピザ職人というだけあって、本格的なお食事ピザです。

焼芋少年団
コグマホットク

 「ホットク」は韓国の屋台などで売られている「おやき」のようなお菓子で、「コグマ」は韓国語でサツマイモのこと。もっちりあつあつのホットクに、しっとりした紅芋の餡がよく合います。薄いけどかなりの食べ応え。

目でも楽しむ!展示&雑貨

 近年、さつまいもはファッションや雑貨のモチーフとしても大活躍。さつまいもの見た目のキャッチーさに、どうやら世間が気付き始めたようです。
 ここからは、さつまいもへの愛を漲らせつつ、ポップにかわいく仕上がった雑貨たちをご紹介していきます。

さつマートNAMETAGA(協賛)

 茨城県行方市から出店の「さつまいもだけのコンビニ」。焼き芋や干し芋のほか、Tシャツやグラス、ポーチ、ステッカー、ペン、ノート、スマホケースなどなど、普段使いできるおしゃれな芋雑貨が並んでいました。今回は、ブランドロゴのような筆記体の「Curing(キュアリング)」と、ケースに積まれたサツマイモがデザインされたクリアファイルを購入。これさえあれば今日からオフィスの人気者。

豊島株式会社(協賛)

 食材のアップサイクル製品などを手掛ける豊島株式会社さんでは、さつまいもで染めた巾着やポーチのほか、おいものキーホルダー(ガチャ)などが販売されていました。キーホルダーは黄色と紫の2種類あり、私は黄色を引き当てました。
 芋好きの心の叫びを代弁してくれる「OIMO TABETAI」「OIMO DAISUKI」ステッカーもあわせて購入。

「さつまいも博」本部ブース

 名物の芋クリアファイル(写真左)をはじめ、以前から雑貨の販売をしていた本部ブースでは、セレクトショップFREAK’S STOREと「さつまいも博」のコラボレーションアイテムが初登場。芋だらけなのに妙におしゃれなTシャツや、絶妙な色味のポーチが目立っていました。

 

「全国やきいもグランプリ 2024」決定!

 今回出店した25店の焼き芋の中から、来場者のメダル投票と先述の「やきいも全25種食べ比べ」審査、そして「さつまいも博」実行委員長や協賛企業などの投票によって決定したチャンピオンは、驚異の3連覇!「神戸芋屋 志のもと」さんでした。今回をもって「全国やきいもグランプリ」殿堂入りとなります。

 各賞は以下の通りです(カッコ内はエントリーした焼き芋)。

チャンピオン 神戸芋屋 志のもと(蜜はるか)
山川名誉実行委員長賞 超蜜やきいもpukupuku(超蜜やきいも)
さつまいも特選農家賞 千葉芋屋 芝山農園(寝た芋)
さつまいも博実行委員会賞 由布院・大牟田はにぽて(熟成壺焼きいも極)
豊島賞 芋福堂(シルクスイート)
霧島酒造賞 おいもや 農家の台所(塩やきいも)

もう一つの人気投票企画の結果とあわせて、賞の詳細は「さつまいも博」公式サイトで公開されています。

次回「夏のさつまいも博2024」開催決定!

 今回の記事では紹介しきれなかった企画も多数ありましたが、とにかくあらゆる角度からサツマイモを楽しめるのが「さつまいも博」の魅力です。
 次回は2024年7月4日(木)~7日(日)に「夏のさつまいも博2024」の開催が決定しています。3回目の夏開催となる今年は、一体どんな「夏芋」に出会えるのでしょうか。今から楽しみに待っています!

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